くそみたいな国とか言うな。
自由、自由 と叫べる自由があるのは幸せだなと考えているひとです。
某花屋に勤務していた時の話です。
その時私は、勤務する店より車で5分ほどの場所にある某コンビニの駐車場から出ようとしていました。お昼の買出しでございます。
そこは寂れた街の対向2車線の道路です。
右折をする為、左側を伺いつつも右側を確認しますと右手方向に一台の車が見えます。
車道に出るタイミングとしては悪くない距離ですが、
こちらに向かってくる車のスピードが気になる、と言うかそれを考えると何か微妙。
ここで考えるのは今行けるかどうか、それを一瞬のうちに判断しなければなりません。
交通ルール、マナー、一般常識、そして経験則により判断を下す事となります。
ここはわりと見通しが良い場所なのでこちらから確認することは容易です。
また逆の場合でも同じことが言えます。
互いの確認は出来ているはず、見通しにおいては五分五分のはず・・
あとはタイミングとドライバーの技量や性格が反映されるマナーが重要です。
決まりごとがあって、それを皆が守ることで秩序が保たれる世の中ですが
その時の状況や個人の解釈によっても、決して自分の判断が正しいとはいえないこともあります。
通行車両のほうが優先されるのが世間一般の常識ではありますが、それを逆手にとって
どうあっても譲ろうとしないドライバーが多いのも事実、
逆に確認不十分でぐいぐい飛び出す、もしくは飛び出して来るドライバーもいますし、
お互いに譲ってくれるだろうとの思い込みで運転していることもあり得ます。
なんやかんやと自分の都合で物事を考えるのが人間ですから、なにが起こるかわからない。
いくら ルールに沿っていると思っていても、自分の思い通りにはいかないのが現実。
そこに性善説は当てはまりません。
有る意味チキンレース状態であるのは否めないと思います。
こちらが良かれと考えていても、あちらはそうとは考えていないかも知れない訳ですし。
万が一の場合でも、お互いの考え方や性格によってもどう転ぶかわかりません。
何事も無く過ぎるか、面倒なことになるのか、それはその時にはわからないことなのです。
まさしくチキンレースですよ。
というわけで、
コンビニの駐車場から道路へ出るタイミングとしては少々微妙かなと思いましたが
私のどす黒い脳細胞 は瞬時に答えを弾き出しました。
「行け行け!」と
ヴィン・ディーゼルさながらにアクセルを踏み込み、ハンドルを切りながらフルスロットルで飛び出す私。お腹空いてるし。
コンマ何秒かの間にたたき出した答えがこれ。お腹空いてるし。
あとは勤務する店へと戻るだけ、そしてお昼のご飯のはずだったのですが
駐車場から道路へ出て、しばらくしてふとバックミラーを見ると
そこには猛スピードで迫ってくる一台の車が。
先ほどの車です。右方向より迫って来ていたあの車、
そのフロントグリルには光り輝く「スリーポインテッドスター」が
そう、メルセデスのベンツ様です。ちと古い、かっこいいけど。
俺になんか用なのかな?
考えてみるに、こちらに向かっていたベンツ様は思ったよりもスピードが出ていたようにも思えます。
私的にはまあ問題のない距離感とタイミングであったと判断しての行動でした。
そこは個人の見解と都合の良い言い訳でしか無いとも言えますけどね。お腹空いてるし。
しかし、結果としてのチキンレース開催。ww
相手にとってはレースへの強制参加ですよ。
相手にしてみれば自分もスピードを出してはいたものの、自分のほうが優先であると
考えていたはず。
ところが自分にとっては不快でもあり危険と思えるタイミングで
目の前に飛び出だしてくる車がある。これが私。
相手の不快感と危険と感じた感情がどの様な配分であったかは知る良しもありませんが
要するにベンツの男はビビった、ということに間違いはありません。
さらには後にわかることですが、この男の性格による所もあったはず。
俺様がいるのが見えねえのか、みたいなあれね。
意図することの無いままチキンレースに参加させられたベンツ様
そしてそのレース主催者である私が運転する社名入り軽ワゴン車。
次の信号で私の車の右側にベンツが並んで急停車しました。
待て待て、この道は対向2車線だからそこに停まる意味がわからない。
しかもほぼ反対車線にはみ出てるし。
でもこの状況はあれだ、テレビなんかで見たことある奴。
横付けの車の車内から降りてきた奴が窓をコンコンっなんてして
こちらが窓を開けるといきなりズドンっなんて、あれみたいな。
アウトレイジみてぇ、ちょっとワクワクです。
もしくはチキンレースの勝者への賛美の言葉をどうしても言いたかったのか。
このヴィン・ディーゼル様に。
しかし、なんか賛美とは逆の罵声のような声が聞こえてきます。
そして私の車の運転席の横に立つベンツの男、
窓を開け男を見ますと大変にお冠(おかんむり)のご様子が伺えます。
その手元には黒光りするお馴染みのアレはあるわけも無く、握り締めた拳のみ。
そう、怒りに震えた男の拳がそこにありました。
その男、黒革のジャケットに身を包むことで多少の演出をしているようですが、
いかにもな人といった感じがしません。
でもUターンして追っかけてくるぐらいだから面倒くさいのは間違いないとは思います。
しかし、
そんなことなど今の私には関係がない、なぜなら飯のことしか考えていないのだから。
お腹空いてるし。
今の俺にはお前にかまっている時間は無い、それよりも飯だ飯。
この時点では後にあんなに恐ろしいことが待ち受けていようとは思いもしなかったのです。
そんな幸せな私に乾杯。
そしてつづく